第48章

子供の涙は人の心を動かす力がある。

島宮奈々未は完全に降参した。

「わかったわ、おばさんが必ずお兄ちゃんを見つけてあげる」島宮奈々未はテーブルの上のお菓子を見た。ほとんど食べ尽くされていて、この子がどれほど空腹だったかがわかる。

この子が本当に遠嶋海次郎の手に落ちていたら、どんな目に遭っていたか分からない。

島宮奈々未の心はまた一度柔らかくなった。「太郎って言うのね?」

「僕は夏目太郎。みんなは太郎って呼んでるよ」太郎は柔らかい声で、小さな指を握りしめた。「きれいなおばさんも太郎って呼んでいいよ」

太郎は島宮奈々未が大好きだった。目の前のきれいなおばさんはとても優しくて、本当にマ...

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